進学教室 勉強クラブ
本 校
048-953-4768
南教室
048-948-0030
お問い合わせ専用フリーダイアル
®0120-7-37415
お問い合わせ・資料請求
塾長コラム

【塾長コラム】勘三郎さんのご冥福をお祈りします。

十八世 中村勘三郎

 去る12月5日、十八世中村勘三郎さんがお亡くなりになられました。報道によるとかなりの病苦と闘いながらの壮絶な死であったそうです。
                                                                *


 当塾では、指導講師の研修は授業技術をたかめるためだけでなく、時には指導の背景=奥行きを広げるための先生方の勉強会もしているのですが、今年の5月には、偶然にも国語科・社会科の社外研修は、『平成中村座歌舞伎』観劇となっていました。


 歌舞伎は、高校入試(学校の教科書の太字で書かれている部分)レベルでは、創始者の阿国(おくに)がさっと触れられているにすぎません。文学史のほうでも、元禄時代の巨匠である浄瑠璃作者・近松門左衛門はよく出題もされますが、江戸末期(化政文化)から明治の文明開化前の近世文学は、実際にはあまり出題されない範囲となっています。


 ただ、前近代(文明開化の前の時代)の活力ある町人文化は、今、大きなブームになっており、実際に、平成23年の埼玉公立入試・国語論説文の素材は田中優子さんの文章(『未来のための江戸学』)あたりが出題されたりなどしており、指導担当者として、時代背景を深くとらえておかなければならない重要範囲でもあるのです。


 塾長のほか、箭内小学部長、金城個別指導部長と、国語・社会科担当の面々で、今年の五月、隅田川べりにある芝居小屋に足を運びました。

 私たちが見たのは、夜の部、原題『梅雨小袖昔八丈(つゆこそで むかしはちじょう)』=通称『髪結新三(かみゆい しんざ)』、河竹黙阿弥(かわたけ もくあみ)の傑作狂言です。
 
 実に仕方のない悪い男が主人公の物語ですが、黙阿弥独特の七五調の台詞まわしが、天才勘三郎によって実にここちよく眼前に繰り広げられ、観客の大きな喝采を浴びていました。
 江戸の市井(しせい)のディティールがいきいきと活写される世話物(せわもの)のリアリティは、教壇で“近世文学”や“江戸時代”の指導をする者としてこの上ないテキストとなる芝居で、とても勉強になりました。


 けれども、結局は、その平成中村座五月公演が十八世の最期の舞台となってしまったわけです。

 私は、上野桜木(動物園の裏手)のとあるスコッチバーで、勘九郎時代の氏とたまたま席をとなり合わせになったのがきっかけで、それ以来、彼の才能のファンになっていましたので、突然の訃報は本当にショックでした。


 “偉大なる才能”と同じ時代を共有することができた至上の幸福に大きな感謝をするとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。


                                        勉強クラブ塾長 深谷仁一


 

お問い合わせ・資料請求
PAGE TOP