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塾長コラム

【塾長コラム】~震災から学んだこと~

梅雨空の下、凜として屹立するテッポウユリ/前庭にて
教務室前の大看板/当面は節電のため消灯します。

 3月11日に東北地方を襲ったマグニチュード9.0の巨大地震から3ヶ月半、ようやく余震らしきもおさまりつつあるようですが、皆さま、或いは皆さまのご家族や周囲の方々はご無事でありましたでしょうか? 
 『東日本大震災』と名づけられた巨大地震は、地震そのものの被害だけでなく、地震により発生した大津波や、さらにその大津波によりもたらされた原子力発電所の事故まで、次第にその悲惨な災禍のただならぬ全貌が明らかになりつつあります。地震そのものが500年とか1000年に一度あるかないかの規模ということで、まさに、すべてが未曾有の出来事といえましょう。


 関東地方でもさまざまな被災が伝えられましたが、当塾では、おかげさまで難をのがれることができました。それでも、3月中は東電の実施した計画停電の影響で延べ数日間にわたり授業の進行に混乱が生じ、代わりの授業を日曜日に緊急編成するなどで塾生や保護者の皆さまにもいろいろとご迷惑をおかけしてしまいました。
 東北の被災者の方々の苦しみに比べれば全く問題にならないほどの事ではありますが、しかしながら、『塾』というものは日没後の業態がふつうですから、電気が無いとどうにもならないことが判明、当初はかなりうろたえたものです。


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 私たちのこの文明は、おおざっぱに一言でくくると、“ヒトの居心地の良さを追求してきたもの”といえます。そして、その居心地の良さの追求とは、とりもなおさず過酷な自然の脅威を制圧しつづける歴史でもありました。風雨寒暖をしのぐ私たちの日常的な行為、その方法のディティールは何もかもが、ナイル川の氾濫やペストの大流行から身を守るために人智をつくした歴史の延長線上にあるものばかりです。自然の脅威から身を守るための創造や工夫、その数々の累積こそが、私たちが“文明”と名づけているものにほかなりません。


 しかし、今、私たちのこの文明は、明らかに大きな曲がり角にさしかかっているように見えます。居心地の良さの追求は、個々にはきわめてささいなものにすぎなかったとしても、全体がその幸せを享受するとなると、それは、いつのまにかまるで化け物のような手のつけられぬ巨大な塊と化していきます。


 例えば、“電力”の問題
 少なくとも、この3月の大震災にみまわれる前日まで、私たちのくらしぶりは、間違いなく電力の大量消費を前提としてきていた筈です。
 電気式コーヒーメーカーのたてる香りで目覚めるというのが、わが家の長きにわたるささやかな贅沢習慣なのですが、気がつけば、エヤコンやテレビPCは言うにおよばず、炊飯、洗濯、入浴などの生活の基本となる行為、トイレを流すのにさえ、電気が必要なのだと、3月のあの日以降、改めて思い知らされました。
 そして原発の問題。原発の出力の大きさに比例して実はその取り扱いの難しさのあることにうすうす気づいていながら、“なるべく考えぬようにふるまってきた”という何とも後ろめたい大きな大きな問題──。


 塾の役目は、いうまでもなく“未来へとつづく人間”を育てる、そのお手伝いをさせていただくということです。
 未来にわたる本当の居心地の良さ、あるいは、本当の幸せなすがたとは何なのか? 目の前にいる子どもたち一人ひとりの笑顔を見るにつけ、私たち大人は、“私たちの来し方、これまでの暮らし方、生き方の常識”を今一度しっかり点検し、その上でこの子どもたちに引き継いでいってもらうべき堅牢な未来図をデザインする必要があるのだなあと思います。


 あるユダヤ人の遺した言葉に、“絶望は愚か者の出す結論なり”というのがあります。大切なのは絶望しないこと──。
 “文明”そのものがどんなに危うい状態であっても、私たち人間には、きっと何らかの為すべき工夫があるにちがいない、と、考えてみる。今ここにどんなに大きな困難があったとしても、これまでの先達たちがそうしてきたように、やはり、しっかりと新しい創造や工夫をつみ重ねていかねばなりません。それが、今ここにある文明のありがたさを享受している私たちの、おそらく、義務でありましょう。


 未来を担ってくれる子どもたちの教育にたずさわる私たちが、常に生き方の主軸に据えておかなければならないのは“希望”という概念です。今、目の前にあるこの子どもたちこそが、未来であり、私たちの託すべき大きな“希望”そのものであるにちがいないのですから……。


 皆が力を出し合って、少しでも良い方向へと歩を進めたいものです。


勉強クラブ塾長 深谷仁一/日本脚本家連盟員・日本放送作家協会員
 

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