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塾長コラム

【塾長コラム】 塾は、儲からないデス。

変化球を確かめ合う先輩と後輩の麗しい姿
プロジェクターを駆使する正社員ならではの授業
映画監督、イベント・クリエーター、ライターなど、私の学生時代の仲間は、フリーランスが多い。私も20年前までは脚本家としての仕事をしていた。(これに関しては、先ごろカンヌ映画祭で脚本賞をとった坂元裕二さんと私の名前「深谷仁一」を同時に検索すると、ああ塾長にもこんな時代があったんだなあ、と判りマス)。ハイ、私は才能が尽き果てて40代のころには脚本のシゴトは入ってこなくなりました。全然。フリーランスは、職能がなくなった時点で社会から見捨てられるという悲劇の人生に見舞われるものです。

 さて、ここで本題。そんな学生時代の仲間に会う機会があると、深谷は塾をやってるから儲かってんだろう、という言葉をかけられます。
 そんなに簡単なことじゃねんだよ・・・と、私は苦笑するばかり。

 実家の庭の小さなプレハブ教室で始めた勉強クラブは、まもなく創業50年になります。市進学院さん臨海セミナーさんも、創業時は勉クラと同じ、おそらく小さな教場が原点だったに違いありません。
 創業年次もほぼ同じ勉クラは、なぜ、市進学院さんや臨海セミナーさんになれなかったか? それは、たぶん、塾長の私が脚本家なんかもやっていたからでしょう。仕方ありません。

 そして、もう一つ二っつ、私が経営者として失格である理由がほかにもあります。
     (ご注意:こっから少し自慢話も入ります

 いつのころからか、私は、塾のクオリティは講師の教務力に100%頼るしかないという考えにとりつかれ、結果、『正社員スタッフで授業しよう』という教務方針をとったこと。
 自分もそうだった気がしますが、先生と呼ばれて教壇にたち、3年、5年、10年、15年と経験を積んでいくと、明らかにイイ先生になっていきます。学生のアルバイト講師だとやっとイイ指導者になったなあと思う頃には卒業していってしまいます。勉クラは、大学生のアルバイト講師ではなく、《熟練の先生に授業を担当してもらう

 この選択が、経営者としての、【失策その一】です。
 一般に、塾講師なんて大学生のお兄ちゃんがやる仕事という常識があるのに、勉クラは、正社員講師にこだわってしまった。→これは大きな人件費増につながります。学生講師なら時給1500円で雇用できます。しかし、正社員講師となると、そうはいきません。大人が大人として勉クラで働いてくれるんですから、給料は相当額をお支払いしています。社会保険、雇用保険、退職金積み立て、などの会社負担も巨額になります。 
 有限会社である勉クラには、もちろんこれらの負担の支払い義務があります。現状、これらの福利厚生費に勉クラは年間500万円~600万円の支払いをしています。
 学生アルバイト講師でまわしている塾なら、これらの経費はかかりません。ゼロです。さぞかし利益も出ることでしょう。

※注意:勉クラも、こうした事情から個別指導部は、『学生アルバイト講師』が担当しています。主に、勉クラの卒業生が担っています。 

メリット:授業後の教務室では、講師たちが様々な授業の成功例、失敗例を報告しあい、次に備えます。先輩講師が新任に指導のノウハウ(つまり、手の内)を話したりします。WBCで、大谷とダルビッシュが変化球の投げ方を確かめ合ったごとくの、あの麗しいイメージです。大学を卒業するとハイおしまいではなく、このあと何年も勉クラで働いていく後輩講師の《深い技量》が醸し出される瞬間です。今年作ったプロジェクタ授業素材が、次の年には改訂され、その教材は共有され、別の先生にも引き継がれます


 経営者としての【失策その二】
 もう一つ、大きな私の経営的失敗は、『オリジナル教材にこだわった』ことです。
 
 実は、塾教材は、いちいち自分たちで作らなくてもたくさんの塾用テキストが売っています。年間のカリキュラムも単元テストも、その教材屋さんが全部作ってくれるので、その出来合いを使うと塾のシゴトは数段ラクになります
 ところが、私はあえて、勉クラ・オリジナルテキストにこだわりました
 これが、経営的失策その二、です。

 「勉クラでは是非こう指導したい」とか「埼玉・千葉の入試問題を授業内であつかいたい」とか「北辰対策も取り入れる」「リスニング演習を手厚くしたい」「ある保護者が学校の教科書の補講指導を希望している」などなど、教室内の様々な教務ニーズに応えるとなると、英語科だけでも年間20冊以上の外注テキストが必要です。それを一年間でバランスよくまんべんなく指導していく教材となると、三郷や八潮、吉川の地域に合ったオリジナル・テキストを、一冊にまとめるのが理想的です。

 その考えから、勉クラでは独自の教材を作成し、改訂は40年以上もずっと続けられています。また、中2中3になると塾生たちの学力差が深刻な状態になります。上位クラスのテキストで指導したら基礎科クラスの子供たちはたちまち息切れします。能力に合ったクラス別のテキスト作成も必須です。そして単元テスト、これらは大きな塾ではどこでも自前のものを用意しているはずですが、勉クラでも、教場は2つしかありませんが、上位クラス用、中位、基礎科クラス用のテストを作成しそれぞれの子供たちのために勉クラ独自の達成目標を定めています。

 どう指導するかについては、職員会議で熱い議論をし、より新しい指導上の工夫を取り入れて次年度の細密なカリキュラムを作っています。そして、そのカリキュラムの改編にそってテキストの改訂が毎年行われます
 そのために、
 勉クラには、フルスペックの大型印刷機(この地域では草加市役所と勉クラの二か所にしかない高級機種(印刷機導入業者/談)があります。→クラウンの上級車が買えるくらいの目の回る値段でした。本校裏手にある新型の製本機も一年中フル稼働です。→アメリカ製です
そして、改訂担当の労働力の大きさ(人件費)は、筆舌つくしがたし、です。

 この、《改訂コストがものすごい経費増》になります。
 儲けようとする経営者なら、オリジナル・製本テキストなど絶対に選択しないに違いありません。

なぜ?
 独自の教務スタイルで、勉クラだからこそできる、他にはない指導を目指しているからです。
 どうして? と問われたら、勉クラだからです、としか答えられません。経営者としてはバカバカしいほどのコスト度外視路線。

 勉クラの資産は、有能な教務スタッフと、子供たちを勉強でわくわくさせたいという高潔な理念、それだけです。
(これは…本校の自転車置き場の屋根がぬけてオロオロ。本当はもっと見栄えのする校舎がほしいという、情けない負け惜しみなんデスが…)


 でも念のため。これから塾でもひらいてひと儲けしようという方、勉クラと同じクオリティを目指したら、絶対に儲けられませんよ。
 ただし、勉クラと同じクオリティが実現できないなら、勉クラには勝てません、絶対に!

 そんなに簡単じゃあないんだから…。
 
創立50年を目前に、南教室はいいとして、本校の建付けはそれにしてもボロボロで、見た目がすこぶるよろしくないなあとため息をつきながら…。

進学教室勉強クラブ 塾長
        深  谷  仁  一
(まだ)、日本放送作家協会員・日本脚本家連盟員
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