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塾長コラム

【ヒゲ先生のコラム】“憲法”の教育への影響①

 ご存じのように、近代憲法には、明治時代に作られた『大日本帝國憲法』と、昭和時代、太平洋戦争敗戦直後、連合国占領下で作られた『日本国憲法』と、二つの憲法がある。

 日本中の中学生たちは、学校の教科書で、明治憲法は古くて天皇中心主義の悪い憲法、そして現行の新しい憲法は、平和主義や国民主権の民主主義、基本的人権を謳った良い憲法と、習う。明治憲法はショッカーで、新しい憲法は仮面ライダーだと習う。

 しかし、本当にそうだろうか。

 江戸時代が終わって明治になったんだから、国会を開く前に日本にも近代的な憲法が必要だということになり、伊藤博文、井上毅(こわし)らが中心となって作った帝國憲法、実は、完成するまでに数年以上の月日がかかった。

 最初はヨーロッパ風の新しい草稿も用意したのだが、ドイツ人憲法学者・ロエスレルから、「こんな薄っぺらなものではダメ。憲法というものは、その国の歴史や文化、伝統を十全に反映させたものでなければならない」というお叱りを受ける。

 だから、伊藤博文や井上毅らは完成させるまでに数年がかりだった。そうとう勉強したらしい。そして、やっとのことで完成した帝國憲法は、当然のことながら日本史上常に中心におられた天皇が、『万世一系の……』というあつかいになる。

 しかし、昭和になって原爆投下、太平洋戦争で敗戦をむかえた我が国は、連合国マッカーサーの監視下で、民主的で平和主義を謳った新しい『日本国憲法』を作ることになった。
 このとき草案を作ったのは、マッカーサーがアメリカから連れてきたホイットニーという若い弁護士だったとか。かなり急かされたらしく草稿は二週間たらずで作り上げた。

 ヒトラーと東条英機を打ち負かし、この世界からもう戦争は無くなったという楽観的な思いの中で、『日本国憲法』は完成させられた。

 だから、平和主義と民主主義を前面に押し出した『日本国憲法』は、かなり、米国憲法や国際連合憲章の色合いが影響している。そして、この新しい憲法は、以降、わが日本国を約80年間も最高法規として君臨している

 そして、『戦後の民主教育』。もう、子供たちを戦場にかりだしてはならぬとばかり、戦後の先生方は、マッカーサーの顔色をうかがいながら、この新しい『日本国憲法』は実にありがたいものだ。男女平等も農地改革も財閥解体も教育基本法や労働基準法もすべてこの新しい憲法のたまものなのだ、と教える。そう、教科書にも書いてあるし……。

●『日本国憲法』の前文には、日本に生きている私たち市民が主権者であること、私たち市民が平和を望んでおり、また日本だけで無く他の国々の市民も『平和』を望んでいると信じる、とある。他国を信じることで、軍隊、武力を持たないことを選択した。と大見得をきっている。そして、私たちは、全力でこの理想と目的を達成することだろう……
と、結んでいる。

 すごい、憲法である。理想、そのもの。
 でも、成立から、もう80年が過ぎた……。

●われわれ一般市民は平和を望んでいる。しかし、国際社会は、本当に『平和』を望んでいるんだろうか? 北朝鮮は核ミサイルの実験を頻繁に行い、国連の安全保障理事国であるロシアは、ウクライナに侵攻。両国合わせてすでに10万人以上が戦死しているというのに、プーチンはこれを戦争と呼ばず、特別軍事作戦とうそぶいている。中華人民共和国の人民解放軍の軍用機や軍艦は年に1000回も日本との国境すれすれにやってくる。一日に3回もだ。万が一、国境を越えられたらたまらないから、日本国の自衛隊は、そのたびに、F-15でスクランブル(緊急発進)をかける。で、ミサイルを搭載していても打ち合って戦争はしたくないから「まさか、戦争したいわけではないよね」と無線で伝える。中国語で伝えるらしい。

 防衛費がもったいないといっても、相手は来るのだから、仕方ない。その度に沖縄那覇基地を飛び立ちスクランブルをかける。さぞかし、ジェット燃料費もかさむだろうに。

 しかも、核兵器こそ持たないが、日本の自衛隊の通常兵器の能力はすでに世界4位、だそうである。ところが、すごいことに、『日本国憲法』には、もちろん、自衛隊も、命がけの任務にあたっている自衛隊員も、F-15も、この世には存在しないことになっている。

 自慢の『日本国憲法』、ちょっと更新が必要になってきているのではないかしら?
と、ふつうに考える私だが、これが難しい。うっかりそんなこと言うと“右寄りだ”と大騒ぎされる。
 と、ここんとこが難しい。教育にも少なからず影を落としている気がする。

“憲法”と教育への影響② に続く


深谷仁一
日本脚本家連盟員
日本放送作家組合員

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