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塾長コラム

【塾長コラム】みはじ指導の貧困を乗り越えて②

どこまでもまっすぐ飛ぶ魔法のボールペン
(これは、前のコラム:みはじ指導の貧困①の続きデス)

 方程式(代数学)を学んでいるある中1生のクラス、B先生はこの単元のマクラ、出席をとったあとに生徒たちに
 B先生「スズキ君はきのう夜11時に寝て今朝6時に起きたそうです。スズキ君の睡眠時間はどのくらいと言えますか?」と問いかけます。すると、
 塾生たち「7時間!」とすぐに反応がもどってきます。
 B先生「じゃあさ、君のうちから勉クラまでどのくらいの道のり=距離があるの?」と問いかけます。
 それぞれの生徒が答えを出しているうちに、B先生は教室の真ん中に大きな地図をひろげ、三郷から草加まで4キロ、川口まで12キロ、八王子まで50キロと、距離を目で確かめさせます

 B先生「今日はさ、小5のときにやった『時間』と『速さ』と『道のり』について、方程式を使って解くということを学ぶんだけどさ。みんなはこの三つのうち『時間』『道のり』についてはどんなものかちゃんとわかってるようだね。そう、先生知ってるんだけど、みんなは『速さ』がどんなものか案外はっきり見えてないんだよねえ」

 と、そこで、B先生は、ポケットから何でもない赤色のボールペンを取り出して教壇に立ちます。
 B先生「これはね、ハリーポッターの魔法のボールペンでさ、塾の窓ガラスも公園のベンチも何もかも突き抜けてどこまでもまっすぐ同じスピードで飛べる特別なボールペンなんだ」といって空中に水平にして手にもつ。
 塾生たちはウソだーいといいながらざわつく。
 B先生「一度しかやんねーぞ。よく見てろよ」と言って空中のボールペンを水平にしたまま、教壇の左から右に歩き、
 B先生「これが、時速4キロメートルだ。1時間に4キロ先まで進める。今7時だから、1時間後の8時には4キロ先の草加にあることになる」
 さらに B先生はもう1本のボールペンを出し空中に水平にして教壇の左から右に速足で歩き出す。
 B先生「見たか? 今のは時速6キロの速さ。これだと1時間に6キロ進めるから、2×6で、2時間後には12キロ先の川口にあるな」
 クスクスと笑って見ている塾生たちだが、小太りのB先生がさらに速く教壇を右に動き「これが時速10キロ」とやるころにはさすがに心も通じてきて真顔になってくる。
 黒板に書かれた時速4km時速6km時速10kmを指して
 B先生「どうだ? 速さって何だかわかったかい? 時速10キロは、10㎞/h(パー・エイチ)て書くだろ。/hというのは1時間につきどれだけ先まで進めるかを表している値なんだよ。何なら新幹線と同じ、1時間に320キロ先までいける時速320キロをやってみようか」
 塾生達は息をきらしているB先生を見て「先生、もういいよ。それ以上やったら先生死んじゃうんじゃねー」

 一見遠回りな指導に見える。しかし、子どもたちが見えていなかった『速さ』について体感させることができる。
 そうすれば【みはじ】なんてつまらないものを押し付けなくても子どもたちは自分で考え出す。
 また、代数学である方程式を学んだ中1の子たちは、式を三つも覚えなくても、【速さ×時間=道のり】の一つだけ理解しておけば答えを出すことができる。

試しに“方程式”で小5の問題にアプローチ

  【例題】ある自動車は200Kmの道のりを2時間で進みました。この自動車の速さを時速で求めましょう。
     『速さ×時間=道のり』だから、
        X×2=200、という方程式を立てる。
            X=100 なので、答えは
        時速100キロメートルとなる。

           *

 われわれ講師は、案外自分がどう学んだかに縛られているものです。自分が習ったようにそれを生徒たちに伝えようとする。日暮里の山の上に開成中学があることもあり、日暮里には名門の中学受験塾がひしめいています。A先生はそこで自分が習ったのだからここは断然“みはじ”で指導するのが正しいと考えたわけです。
 
 しかし、今うけもちのこの子たちに何を伝えるのか、この子たちにとって何がわかりにくいのか、その部分を考えることが何より講師に求められる一番大切なことです。 
 塾長は、ハリーポッターの魔法の杖、そのレプリカを買っても経費でおとせるかな、と考えている。来年はそうしよう。

進学教室勉強クラブ塾長
深谷仁一
日本放送作家協会・日本脚本家連盟員

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