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塾長コラム

【塾長コラム】R-15 まずは幼児教育、まずは国語力を!

南教室玄関受付前にて/勉クラは小4からです。
お子さまといっしょに本を読んであげるなどが大事 
勉クラに入ったからといって、
 誰もが浦高・大宮に合格できるわけではありません!


【子どもたちの基礎学力の育て方】

 まず、いきなり、大塚ひかりさんの『女系図でみる驚きの日本史』からの引用です。

 フランスの社会学者ピエール・ブルデューが広めた《文化資本》という概念(がいねん)があって、家庭で獲得される趣味教養やマナーと、学校で習得される知識や技能に大別され、問題となるのは前者だそうで、
 大塚ひかりさんは、「親に読書の習慣があれば、言われなくても本を読む子になったり、親の仕事で海外生活が長いと子供は苦もなくバイリンガルになったりする。これが家庭で獲得される《文化資本》で、気がつくと身についていることから【身体化された文化資本】と呼ばれたりもする。努力じゃ得られぬ&金でも買えぬそれらをたくさん持っている人ほど学問に親しみやすく、結果的に親と同等の高い学歴と地位を得られるという身もふたもない社会のしくみを、ブルデューは統計的に証明した」
のだそうだ。

 本当に身もふたもないが、的を射ていると思う。

 僭越ながら、またまた私ごと。今思うと、私の育った家庭には結構書物があったと思う。まだ三郷村といわていたころ、小学校の教員をしていた両親から生まれた私は、その教育熱心な母親や父親のおかげで小さいころからわりと本に触れていた。安月給だった両親は随分と無理をしたのではないか、と回想する。

 私が、脚本家をしたり、なんだか作文だけはちょっと並みじゃないのは(上手って意味デス)、そのベースは、やはり家庭環境にあると思う。

 かつて、ビートたけしの『たけしくん、ハイ!』という自伝的ドラマがあった(NHK/銀河テレビ小説)。たけしの母親は、下町のすさまじい貧困の中で身を削って子どもたちにたっぷり教育費をかける。その母親のセリフに「貧乏なウチはね、子も貧乏、孫も貧乏、代々貧乏になっちまうんだ。ウチみたいな貧乏なとこはね、たっぷり勉強して学問を身につけなきゃ、この貧乏からは抜け出せないのさ!」という衝撃的なものがあった。

 本当に悔しいが、切実な事実だと思う。

                *

 そして念のため、お子さまを自然に勉強好きに育て上げるのは、必ずしも勉クラに入ることではないかもしれない、という話。
 それより何より、ご両親がお子さまに新しい知識にふれることの楽しさ=絵本を読んであげたり、図書館でいっしょに本を探したり、博物館や水族館でわくわくさせたりなどの《知的好奇心を刺激するような環境を、できるだけ早く作ってあげることが大切な気がします。できるだけ小さい時から、が理想的です。

 大変でしょうが、それが、お子さまの、のちのちの学力に、とっても影響します。

 仕事関係の本でもなんでもいいんです。お父さんが本にふれて、目を輝かせていたら、お子さまは、「ねえねえ、それ何? 何が書いてあるの?」と必ず目を輝かせてのぞきこんでくるはずです。


【実は、なにより国語力が大事】

 信じられないかもしれませんが、中2中3になってひどく大きな学力差が出る教科が、数学や英語ではなく、本当は《国語》です。手のつけられぬほどの大きな学力差です。

 ああ、さすがこの子は志望校の合格は難しい、受験日までとても間に合いそうにないなあ、というお子さまがいます。中3になって、まだ小2、小3レベルの漢字がきちんと読めない子。いったい小学校の先生は何を教えてくれたんだと、怒りを感じてしまうほどの基礎学力の欠如国語力は、身につくのにある程度の時間を要しますから、間に合わないのです。本当に深刻です。

 一方、勉クラには、Xクラスという特進授業があります。幼児期からことばの学びの充実していた子たちのためのクラス。ここでは、中3で高校水準の知識をふつうに扱いますなぜなら、
 国語科の高校入試では、高校生水準=大学入試レベルの文章がふつうに出題されるからです。

 たとえば、23年の埼玉県公立入試・国語論説文の問題では、川瀬和也氏の『ヘーゲル哲学に学ぶ/考え抜く力』が出題されました。あまりにいい文章なので私もこの本を買って読みましたが、この本の中で川瀬氏自身が「哲学に興味のあるビジネスマン、大学生、高校生、そして特別に優秀な中学生を対象に書いた」と書いています。高校生レベルの文章だし、哲学だし、しっかりと事前案内をしてあげないと、浦高や大宮高校には受かりません

 埼玉の入試には『選択問題』という区別設定があって、優秀な高校のために、一般高より少し高いレベルの問題にするというシステムがあります。草加高校は一般標準問題で、越北は選択問題で、というように高校入試が別の問題で実施されるというシステムです。しかし、このシステムは英数だけで、国語にはありません。国語科は、浦和高校から最底辺の高校まで、受験生が、同じ入試問題で受けることになります。となると、
 もちろん、
小2や小3の漢字が読めない受験生には、国語力の圧倒的不足のせいで哲学をあつかった問題などは全く歯が立ちません

 中2中3のころになって、お母様から「ウチの子は理科や社会の偏差値が上がらない」というお悩みをよせられることがあります。これも、分析すると、国語力不足が原因であることが少なくありません。国語力が足りないと、理科・社会科の学校の教科書でさえ、ひとりでは学べません。書いてある日本語が理解できないからです

 また、数学では、計算問題はなんとかなるのに応用問題が解けないという子もいます。詳しく調べると、3行から5行の応用問題の文章が、国語力が欠如しているばかりに読み取れない、という事実にいきつきます。

 人間がものごとを理解するのは、『ことば』のおかげです。ことばの力が圧倒的に不足しているお子さまは、中2中3レベルの理科や社会科の教科書や数学の応用問題の内容をひとりで読み取り、理解することができない状態に陥っているのです。

 お願いします。日本語で書かれたものをちゃんと読みとれるようなトレーニング=教育環境を、幼児期、小学生のころからしっかり与えて上げてください

 国語の幼児教育がお子さまの将来の学力にとっても大きな影響を与えます

 ちなみに下町の貧乏な家族の主人公は、今、成長して《世界の北野武》になっています。タケシくんのお兄さんも東大で学び、その後、大学の先生になったようです。
 下町一の貧乏なお母さんの強い意志が実ったと言っていいのではないでしょうか?

 子育ては本当に大変です。どちらのご家庭でも、お父さんやお母さんは身をすり減らして子育てに懸命です。

 でも、あえて、
 お父さん、お母さん、

 残念ながら、勉クラは小4からしか授業を設定していません。幼児教育、公文さんでもどこでも結構です。英才教育ではありません。
日本語の基礎力をしっかり身につけて、将来の学力の礎を築くこと始めて下さい。

 キーワードは、《国語力の充実》です

勉強クラブ塾長
深 谷 仁 一
日本放送作家協会 日本脚本家連盟員
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